本日、目がさめたとき、頭を醒まそうと思ってテレビをつけた。最近、起床時の頭の醒めが悪く、こうしてテレビをつけると割合頭がはっきりしてくることに気づいたからだ。
そしてテレビでは笑っていいとも!をやっており(タモリ老けたなあ……)、画面は見ていなかったのだが「野久保くん」という単語が耳に入り、ああ、野久保直樹が出てるのか……と思って、いいともを見始めてしまった。TBSの昼ドラの内容が思いがけなくつまらなくて見やめたこともあり、なんとなく。
いいともで彼は自分がA型であること、潔癖症であること、母親はほどほどに好きだということ、そういうことを言っていた。僕は野久保のその時の言動とふるまいに、何か違和感を覚えずにはいられなかった。
そんなこんな考えたことを、以下想像における野久保直樹との会話で簡単に記す。
僕は、自分の想像の中に他人を置き、その人と会話をするというのをよくする。その際、僕は身振り手振りを交え実際に言葉を発するので、傍目から見れば幻聴・幻覚がある人がそれと会話をしているように見えるだろう。僕の独り言は思いきり分裂的なのである。
以下想像の中での会話であるから、事実ではないので、たまたまここに辿り着いたファンの方は誤解されないようにお願いしたい。また僕の想像である以上、僕にとって大変都合よく進む会話である。
若干顔見知りの設定。野久保の返答が曖昧なのは、単純に僕があまりそこまで野久保という人を把握していないため、一般的な返事にならざるを得ないということ。
野=野久保。
僕「あの、この間、いいとも出てたの、見ましたよ」
野「ありがとうございます」
僕「そんで、潔癖症なんですってね」
野「そうなんですよ、思わずつい言っちゃいました」
僕「あー。レギュラーの人たちに、野久保くんてどんな人なのってきかれて、真っ先に言ったのが潔癖だったじゃないですか。あれって、他に思いついたことがなくて、そんで最初に浮かんだのが潔癖だったんですか?」
野「そう……ですね、」
僕「だとすると、自分が潔癖だっていうのは、割合自分のアイデンティティとして、確立してるんだ?」
野「ですね」
僕「A型っていうことを強調してたものね、男性には珍しいなあと思ってたけど。」
野「何が珍しいんですか?」
僕「いや、男性でね、僕はA型なんで神経質なんです、ってわざわざ言う人って、珍しいなあと思って。」
野「あー」
僕「でも、神経質の人って、自分で公言しないと、大雑把な他人はズカズカどかどか遠慮なくきますからね、その辺は自らきっちり言って自分の領域を守っておかないとですよね」
野「そうなんですよ。誰もわかってくれなくて。」
僕「あの、自分の潔癖さの度合いを満員電車で例えてましたよね。満員電車でも、つり革つかめないって」
野「つかめないです。どうも気持ち悪くて」
僕「仕方なく、小指だけでつかむと」
野「はい」
僕「はーん……なるほどねえ」
野「え、なんですか。」
僕「あのね、思うんだけど、実はやっぱ、今の自分の人気ってものが、どこか不条理なものだと感じてる部分、あるんじゃないんですか?」
野「どういうことですか?」
僕「つまりね、このタレントの”野久保直樹”っていうのは、あっというまにキャライメージとして作られて広まってしまって、それで誰一人としてそれを疑わないわけですよ、その野久保像を。その現状に、野久保くんとしても、実は結構つらいというかキツイものがあるというか」
野「うーん……(笑)」
僕「満員電車ってのは、要はその、人波に押される気分の悪くなるおしくらまんじゅうっていうことの典型的イメージじゃないですか。潔癖の説明をするとき、いっちゃん最初に思いついたのが電車でのエピソードなんですか?」
野「そうですね、ぱっと思いついた」
僕「だとするとね、まあ勝手な邪推なんだけど、人並みに押されてままならない状況の中で、つり革をつかまらないっていうのは、どうにもならない状況に対して、抵抗手段を持たない、持ちようがないっていうことですよ。持っても小指でようやくしぶしぶながらつかまる、っていうことでしょう。僕は、この例えを真っ先にあなたがいいともで言い出したってのは、野久保くんがまさに今、タレントとして感じてる不条理さ、理不尽さを吐き出しちゃったことと同じなんだと、感じたんです。」
野「うーん……?」
僕「大勢のファンの人、まあ世間っていってもいいのかな、その人たちは、現実の野久保直樹という人を一切越えて、野久保くんのもっと後ろにある大きなものを見てる、でしょ。」
野「それはすごい感じます。」
僕「若い女の子が”ノックにぎゅっと抱きしめて俺にとってはおまえだけだとか言われて守ってもらいたい”とか言っちゃうとかね(笑)」
野「あは(笑)」
僕「まあそれはいいんだけど、だからその、結局今のタレントとしての野久保直樹が、どうしても不本意ながらひきよせてしまうでっかいものに対して、野久保くん自身、抵抗手段を一切持ててないんでしょう。僕はね、まさにそれが電車の中で抵抗ができず、抵抗できてもつり革を小指でつかむ、っていうことであらわされたんだと、思いますよ」
野「僕はそれに対してなんと言ったらいいのか……」
僕「いや僕の邪推ですから、聞き流してください、僕が勝手に言いたい放題したいだけだから。そんでね、さらに身もフタもなく言っちゃうと、実は芸能界そのものとファンを、ものすごく不潔なものだとおもってるんじゃないですか?」
野「いやいやいや、そんなことはありません、決して、ハイ」
僕「(笑)。僕はね、野久保くんがあそこで頑ななまでに潔癖を主張したのは、ある意味で、『僕はタレントやってるけどプライバシーの領域だけは頼むから守らせてくれ』という間接的な、迂回的な宣言なんだとおもいましたよ。目の前で言うのも失礼だけど、野久保くんはやっぱりおバカキャラであっても、どこかイイコキャラという位置づけがありますよね。まあ僕はその方が合ってるようにもおもうんだけど、バラエティーでもガンガン前に出ずにすんで大人しくできるから、自分としても割合いいでしょ?元々俳優志望なわけだし」
野「(笑)」
僕「イイコキャラという要素があるから、実際自分が嫌いだと思ってることをあまり大きくは言えない。イイコがちょっと悪いことをしたときの周囲の軽蔑の目ってのはすさまじいものがありますからね。ドラマでしつこいぐらいに描かれるテーマの、不良がいいことをすると途端に見なおされてしまうのとは逆に。中島みゆきの歌でもあるんですよ、♪こんな仕事をしているような女だから誰にでもやさしくすると思われやすい、あたしにだって嫌いなやつはたくさんいる、だけどだれにも嫌いだと言えない♪、なんていう。それだから、自分の嫌いなものを嫌いと言えないキャラづけをされてるんだけど、やっぱりそれを言ってしまいたいという欲求があって、それがあの潔癖ということを経由して、口をついたんだと、僕は感じましたね」
*
僕「あの、お母さんの話になったときに、言葉を濁しましたよね」
野「そうですね、家族の話がふられるとは思いも寄らなかったんで」
僕「どんな話がふられるかわからないのがバラエティーの怖いところですね(笑)。それで、僕はあれ物凄く邪推しちゃったんだけど、もしかしてお母さんがあまり好きじゃないとか?」
野「いや、そんなことはないですよ。ただなんて言ったらいいかわからなかっただけで……アドリブがきかなくて」
僕「それ致命傷じゃないか(笑)。まいいや、あー、だとしたら僕はちょっと邪推しすぎたな。自分が潔癖であるっていうことは母親とは全く関係ないという宣言なのかと思っちゃった。要は母親からは自立してます、母親の影響なんかじゃありませんから、誤解しないでください、という意味合いなのかと思った。でもそうするとあれかな、さっきも話したけど、自分のタレントイメージが世間で大きくなりすぎちゃって、本来の自分を越えたものを誰しも見てしまっている。その居心地の悪さを野久保くん自体が抱えているんだとしたら、あのーこの世間からの巨大で圧倒的に(悪い意味ではなく)偏見に満ちたあなたへのまなざしに、家族はなんとしても巻き込んじゃいけない、という思いがあるんじゃないかと思うんだけれど」
野「ものすごくあります。僕が家族を守らないといけないなっていう危機感っていうか」
僕「イイコだなあ、どこからくるのその素朴さ。普通母親を愛しているかどうかを問われて言葉を濁すなんて、マザコンだと思われたくないっていうところからくるものがほとんどだと思うけどね、男性の場合。野久保くんの場合はそういう保身的なものじゃあなかったんだね(だとするとこの子は<一卵性親子>みたいな感じなのかな……それも息子というよりは娘的な……)。でもそう感じてるとすると、潔癖はますます強まってるんじゃないかなあ。潔癖ってガードを固めることだから、売れる前より、昔より潔癖症状が強くなったっていうところ、ない?」
野「どうでしょうねえ。」
僕「『僕は家族を守りたい』という意識があるから、野久保くんとしては自分がピエロになってそっちに矢が集中してくれればいい、っていう気持ちがあるんだと思う。でも一方で、ピエロでありつづけるってのはなんだかんだであなたの本来の気質には、あまり合ってないんじゃないかしら。そこで潔癖が、なおさらに補強されていく、っていう部分もあると思う。マスコミとファンから家族を守ること、それから自分を守ること。このどちらもが潔癖っていうポイントで名が売れた以前よりも強烈に結びついているような気がしちゃうんだけどなあ。……ところで今、恋人いる?」
野「なんですか急に。いませんよ、いないっていうかできないです。忙しいし。」
僕「そうですか、僕はそこで潔癖だからっていう答えをちょっと期待しちゃったんだけど(笑)。いや、つり革につかまるのも小指だけっていう話を訊いてね、そこもまた邪推しちゃったんですよ。指一本だけでつかまりますとかじゃなく、小指だけを結ぶってわざわざ表現したのは、誰か小指を結ぶような相手がいて、芸能界に作られた自分じゃない自分を唯一見てくれる人がいるのかな、なんて思っちゃった。これも邪推だね、まあ訊くのも野暮って話か。」
以上である。
母親についての言及において、野久保が母親を嫌悪しているというコースも考えてみたのだが、そちらは話が複雑になりすぎるので、やめた。なぜなら僕自身の母に対する意識が浮上しすぎてくるため、厄介な話にならざるをえないのだ。
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